2018年のスルガ銀行の不正融資の問題を皮切りに、かぼちゃの馬車のスマートデイズの破産、TATERUの不正融資問題、わひこなどの中小不動産業者の倒産など、不動産業界の大きな問題が相次ぎました。
不動産業界にとっては大きな変革期となっておりますが、今回はテレビ東京のガイアの夜明けでも特集されて一躍話題となったレオパレスの施工不良問題について、わかりやすくまとめたいと思います。
本題からは外れますが、倒産したスマートデイズ社長の大地則幸は、なんと、レオパレスの出身者なのです。
そして、レオパレス問題の一切を指示したとされている創業者の深山祐助氏は、現在はレオパレス社にはおりませんが、現存する株式会社MDIという不動産会社で経営に携わっています。
MDI社はレオパレス創業者の深山祐助とその親族でレオパレス21の元取締役である深山将史が創業し、現在でもそれぞれ顧問と取締役会長として経営に携わっていますので、今後同じような問題が起こる可能性もあります。
レオパレス問題に関して、MDI社はこういった声明を出しています。
独立した外部委員による「当社賃貸住宅に関する検証委員会」を設置し、当社の施工物件
及び施工体制について客観的、専門的立場から検証を行っていただくことといたしました。
本検証委員会による検証結果は広く開示するとともに、その結果をフィードバックする
ことにより、当社の施工品質をより一層向上させるために活かしてまいります。
MDI社はまともな経営をしていると言い張っているようですが、見え方からすると、レオパレス創業者の深山祐助氏はレオパレスですべてを指示したと言われており、大きな問題を残したまま、レオパレスを退社し、MDIを創業したことになります。
私の見解としては、信用に足るかは慎重に判断が必要だと思います。
それでは、本題に入っていきたいと思います。
レオパレス問題の流れ
- 地主に相続対策と『家賃収入10年保証』『30年一括借り上げ』をうたい文句に、アパートを一気に拡大。
- 家賃保証の打ち切り⇒オーナーからの訴訟に発展
- 界壁がない違法建築のアパートを大量に建築
- 2018年3月29日及び4月17日に2名のオーナーから指摘を受け界壁施工不備が発覚。
- 5月29日TVガイアの夜明けで報道され、ここに来てようやく問題が顕在化する。
- 6月18日、レオパレスが調査を行うため、界壁施工不備問題緊急対策本部を立ち上げていることを報告。
- 7月深山英世社長の報酬が1億2500万円である事実が判明し非難を浴びる。
- 2019年2月7日、レオパレスは新たに1324棟の物件で壁や天井などに施工不良が見つかったと発表。
入居者は1万4443人、天井の耐火性能が不足しているのは、上記の内641棟で、入居者7782人に速やかに転居を要請 - 2月19日にはレオパレスのアパート1895棟が建築基準法違反が確認されたことを国土交通大臣が発表。
- 2019年3月期の決算で690億円の赤字が拡大し、深山英世社長が退任(創業者深山祐助の甥っ子)
- 大株主の投資会社レノ(村上世彰氏)から全取締役解任を求められる。👈イマココ
目次
建築基準法違反の経緯
建築基準法違反が発覚してから現在までの流れをみていきましょう。
2018年5月:ガイアの夜明けの放送で事件発覚
ガイアの夜明けを見てこの事件を知った方も多いと思います。
大きな問題なのが、2018年3月29日及び4月17日に2名のオーナーから指摘を受け界壁施工不備が発覚しているのにも関わらず、ガイアの夜明けで放送されるまで隠蔽していたことです。
2018年6月:社員による恫喝が明るみになる
LPオーナー会で被害者の会を設立。NHKの取材をレオパレス社員に伝えたところ、同社員から恫喝を受けたようです。
曲がりなりにも上場企業であり、オーナーは会社にとっても優良顧客のはず。
恫喝するなんて、どう考えてもあり得ないですよね。
2018年7月:深山社長の危機とエアコン問題が明るみに
問題の最中、追い打ちをかけるように問題が明るみになっていきます。
- ・深山英世社長の報酬が1億2500万円である事実が判明し非難を浴びる。
- ・猛暑の中、物件に設置されたエアコンが3時間で強制的に電源が落ちる機能が付いている問題が発覚
ずさんな管理体制どころか、エアコンの電源が落ちるとか聞いたことがありません。
レオパレス社にとっては、オーナーも入居者も、ただの金づるでしかないのでしょうね。
2019年2月:新たな施工不良物件を発表
- レオパレスは新たに1324棟の物件で壁や天井などに施工不良が見つかったと発表。
- 入居者は1万4443人、天井の耐火性能が不足しているのは、上記の内641棟で、入居者7782人に速やかに転居を要請
入居者にとっても非常に災難です。とは言っても、界壁がない物件に住んでいたら火災が起きたら、全焼するのは間違いないので、自分の身を守る意味でも即退去したほうが良いのは間違いありません。
家賃保証を切られたオーナーさんにとっては、退去問題は非常に大きいですよね。
仮に2億円の返済を金利2%、30年ローンだとすると、返済は月79万にもなります。
ただでさえレオパレスは需給を完全に無視して、同じ地域に乱立して建築してたわけなので、返済額分を入居させるのはかなり困難だと思われます。
2019年3月:赤字が690億円に拡大、ついに社長が退任に追い込まれる
- 2019年3月期の決算で690億円の赤字が拡大し、深山英世社長が退任(創業者深山祐助の甥っ子)
このまま倒産となるのかどうかはこれからも注目してみていきたいと思います。
闇が深いのは、創業者の深山祐助は2006年に48億円の私的流用で引責辞任しているのですが、全くの責任がないとは言えないでしょう。
「サブリース+家賃保証」で、何百棟と売り切った後には、サブリースを打ち切るという、完全詐欺なスキームを作ったのは創業者である深山祐助以外に他なりません。
問題発覚後の売上高と入居率はどうなったか
売上高の推移を公開
HPから引用した売上高推移です。
問題発覚の2018年5月と現時点の2019年1月を単純に比較してみます。
問題発覚したのに売り上げは増加
・2018年5月・・55億3200万円
・2019年1月・・55億9200万円
売上高は6000万以上増加
売上高は減少するどころか増加しています。
一連の問題を受けてアパート入居率が下がったため、損失引当金として96億円を新たに計上した。同社の株主資本は昨年12月末で1058億円。
前期の売上高は前の期比5%減の5050億円。従来予想の5100億~5160億円から下方修正した。不備のある物件で入居者の新規募集を停止しており、家賃収入が減った。
アパートの入居率が下がり、さらには新規の募集を停止しており、利益は減少、8年ぶりの最終赤字になったようです。
入居率の推移を公開
1月以降は不動産業界では繁忙期ですので、問題発覚前の2018年1月から3月はは急激な右肩上がりとなってますが、
問題発覚後の2019年1月から3月は右肩下がりとなってます。
一番下の青い線が2020年のもので、4月以降の予想となっています。
右肩下がりとなっており、赤字を食い止める策はあるのでしょうか。
界壁がないことのリスクについて
そもそも、界壁とは、マンションやアパート、団地などの「共同住宅」、テラスハウスなどの「長屋住宅」の住戸間を区切る壁のことです。
建築基準法第30条
「長屋又は共同住宅の各戸の界壁は、小屋裏又は天井裏に達するものとするほか、その構造を遮音性能(隣接する住戸からの日常生活に伴い生ずる音を衛生上支障がないように低減するために界壁に必要とされる性能をいう)に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない」
建築基準法施行令第114条第1項「長屋又は共同住宅の各戸の界壁は、準耐火構造とし、小屋裏又は天井裏に達せしめなければならない」
レオパレスの物件は界壁がない違法建築物件ということになります。
界壁がないことで、入居者は万が一の火災の時に逃げ遅れる可能性が高くなるということです。人の命がかかってるのにひどい話ですよね。
界壁がない問題点やリスクは、火災時の問題だけではなく、遮音性がめちゃくちゃ下がるとのことで、「入居者が4軒隣のインターフォンの音が聞こえる」といってたのは、こういった問題からだったのです。
また、界壁問題だけでは無く新たな問題が発覚しました。
- 天井:二重に張るべき材料が一重
- 外壁:耐火基準に適合しない材料・工法
オーナーからは割高といわざるを得ない高額な建築費を吸い取って、遵法性の全くない違法建築物件を建てまくって、レオパレスだけが儲かる手法です。
経営陣は一切を知らなかったと否定しているようですが、被害額の大きさやオーナーさんのことを考えると、「詐欺罪」などの罪に問われてもおかしくないと思います。
界壁問題の対象ブランド
- ゴールドネイル
- ニューゴールドネイル
- ゴールドレジデンス
- ニューシルバーレジデンス
- ニューゴールドレジデンス
- スペシャルスチールレジデンス
- ベタースチールレジデンス
- コングラツィア
ほとんどの物件が界壁問題の対象になっているようです。
まとめ
レオパレス問題の流れ
- 地主に相続対策と『家賃収入10年保証』『30年一括借り上げ』をうたい文句に、アパートを一気に拡大。
- 家賃保証の打ち切り⇒オーナーからの訴訟に発展
- 界壁がない違法建築のアパートを大量に建築
- 2018年3月29日及び4月17日に2名のオーナーから指摘を受け界壁施工不備が発覚。
- 5月29日TVガイアの夜明けで報道され、ここに来てようやく問題が顕在化する。
- 6月18日、レオパレスが調査を行うため、界壁施工不備問題緊急対策本部を立ち上げていることを報告。
- 7月深山英世社長の報酬が1億2500万円である事実が判明し非難を浴びる。
- 2019年2月7日、レオパレスは新たに1324棟の物件で壁や天井などに施工不良が見つかったと発表。
入居者は1万4443人、天井の耐火性能が不足しているのは、上記の内641棟で、入居者7782人に速やかに転居を要請 - 2月19日にはレオパレスのアパート1895棟が建築基準法違反が確認されたことを国土交通大臣が発表。
- 2019年3月期の決算で690億円の赤字が拡大し、深山英世社長が退任(創業者深山祐助の甥っ子)
- 大株主の投資会社レノ(村上世彰氏)から全取締役解任を求められる。👈イマココ
大株主からの全取締役の解任が求められてますが、流石に逃げ切れないと思います。
真っ当な経営者が再建のために来て、オーナーさんたちを救うための策を打ってくれることを切に願います。